今回は、「登記簿謄抄本」と「登記事項証明書」の違いについて、豆知識をご紹介したいと思います。
まず、「登記簿謄本」とは、法務局に保管されている不動産、法人、財団等に関する登記簿(紙)を法務局職員が謄写(対象登記簿の全頁をコピー)し、末尾に登記官が登記簿謄本に相違ない旨の証明(認証)をしたものをいいます。
「登記簿抄本」は対象登記簿を抄写(必要な頁のみを抜粋してコピー)したもので、枚数を少なくしたい場合や、必要な部分だけを明確にしたい場合等に便利です。
これらの登記簿謄抄本の原簿である登記簿のうち不動産や法人に関するものは一部の例外を除き、近年の登記情報の電子化に伴ってそのほとんどが閉鎖され、管轄法務局に閉鎖登記簿として保管されることとなりました。なお、現在も電子化が完了していない登記簿、例えば工場財団登記簿等については、引き続き登記簿謄抄本が発行されています。
そして現在、登記簿謄抄本に替わり登場したのが、いわゆる登記事項証明書です。
昔の登記簿をそのままコピーする方法に対し、登記情報のデータを編集したうえで発行するため、登記事項証明書はそのタイトルも様々で、すべてを正確に覚えることは難しいかもしれません。
そこで、不動産登記の代表的な証明書を例に、旧登記簿謄抄本と比較してみます。
(不動産登記について)
1.全部事項証明書(旧登記簿謄本とほぼ同一)
※ 未だに「謄本」と呼ばれることもある。
2.何区何番事項証明書(旧登記簿抄本とほぼ同一)
※ タイトルがわかり難いので、一般に「一部事項証明書」と呼ばれることが多い。
3.現在事項証明書(旧登記簿謄本では編集が不可能であった)
※ 登記データの編集により現に効力のある登記事項のみを証明することが可能となった。
4.閉鎖事項証明書(旧閉鎖登記簿謄本とほぼ同一)
※ 登記情報の電子化以降に滅失、合筆等の理由で閉鎖された登記情報の証明書
最後に、不動産登記に関する各種証明書は法務局の登記記録を証明するものであって、従来通り不動産の権利関係を直接証明するものではなく、登記簿謄本の旧登記システム時代から登記制度の効力に変わりはありません。