生命保険は、相続対策の万能選手です。
分割対策・納税対策・節税対策・二次相続対策のどれにも使える、なくてはならないものです。
ただ、最近は「値上げ」や「商品改定」が相次いでおり、「おススメ」と言われていた生命保険が次々と無くなっていっています。
その代表例が、「一時払い終身保険」の販売停止です。
【 マイナス金利の影響 】
去る平成28年1月29日に日本銀行がマイナス金利の導入を決定し、2月16日に開始されました。民間の銀行は、預金者から集めたお金を日銀に預けていても一部マイナス金利になってしまうので、できるだけ民間に貸し出すようになるだろう。そうすると、貸し出し金利も下げざるを得ないので、借りる人が増えるだろう。借りる人が増えると、設備投資や不動産購入など、経済活動をする人が増えて、経済が活性化して、物価がだんだんと上がっていくだろう・・・。
ごくごく簡単な説明で恐縮ですが、マイナス金利はこのような思惑があって導入されました。
まだ始まって2ヶ月。短期的に効果が出るものではありません。マイナス金利が成功か失敗かなどと簡単に論じることはできませんが、様々な影響が各方面に広がっています。
その中でも大きいのが、「生命保険」に対する影響です。
民間の銀行は、日本銀行に預けられない分を、急に貸し出せといわれても対応できず、その分で「国債」を買い求めています。それによって、国債の利回りが低下しています。
生命保険会社は、多くのお金を「国債」で運用していましたので、国債の利回り低下は死活問題です。今までのような商品では、売れば売るほど赤字になっていまいますので、とにかく「売り止め(販売停止)」が相次いでいるわけです。
【 有効な「相続対策」が、また1つ無くなりました 】
以前、私は「一時払い終身保険」に安易に加入してはならない!
「一時払い終身保険」以外の終身保険に入れる「年齢」や「健康状態の方」は、支払い方を「有期払い」にし、コツコツと支払っていくべきだ・・・というお話をしました。
勘違いして頂きたくないのですが、この意見は今も「同じ」です。
ただ、それを裏返すと「一時払い終身保険」は、「高齢の方」「病歴がある方」には、とてもおススメの商品だったということなのです。
死亡保険金の相続税非課税枠を利用した節税対策や、遺産分割の対象外であることを利用した分割対策などは、非常に有効で基本的な方法であり、法律上「生命保険」以外では行うことができない対策になります。
本来、生命保険は株や投資信託と違い、年齢や健康状態によっては契約できないことがある「人を選ぶ金融商品」です。しかし「一時払い終身保険」は「かなり高齢でも加入できる」「健康診査もない」という例外的な商品でした。
よって、相続対策をしたいけれど、生命保険には入れないという方にとっては、まさに「希望の星」だったのです。・・・しかし、もうそれも「過去の話」になりつつあります。
※各社、経済状況が変われば、すぐに販売を再開したいとは発表しています。しかし、マイナス金利導入の目的が「物価2%上昇」である以上、それを達成する前に政策を撤回することは考えにくく、長期化することが予想されています。
【 他の保険も 要注意! 】
合わせて(相続対策とは少し離れますが)、「一時払い終身保険」以外の生命保険も、いつ販売停止になってもおかしくない状況にあります。
特に「年金保険」「養老保険」「学資保険」などの貯蓄系の生命保険は、すでに「一時払い終身保険」と同じように販売停止が続いています。
また、通常おススメしている「有期払いの終身保険」も、いつまで今の保険料なのかまったく分かりません。
相続対策が必要な方は、できるだけ早くご検討ください。
【 大事なのはまず「重い腰を上げること」! 】
今回の一時払い終身保険の件に限らず、今まで可能だった対策が、時間の経過とともにできなくなっていくことは珍しくありません。
たとえば、「認知症」。認知症になれば、生命保険どころか、ほぼすべての相続対策が不可能になります。まずは重い腰を上げ、早めに専門家に相談することです。なんにしても「理解力」「記憶力」「体力」が必要ですので、時間との勝負とお考え下さい。
当サポートセンターでは、生命保険に関するアドバイスや相続税の試算などを随時行っております。ご心配な方は、いつでも当センターまでお問い合わせください。
以上